JRを辞めた本当の理由【8年勤務した元社員の赤裸々体験談】

「JRって安定してそうなのに、なぜ辞めたの？」

この質問を何度も受けてきました。確かに、JRは多くの人にとって「絶対的な安定企業」のイメージがあります。しかし実際に8年間JR本体で働いた私が退職を決断したのには、明確な理由がありました。

この記事では、転職サイトの口コミでは語り切れないJR退職の本当の理由を、実体験をもとに包み隠さずお話しします。現在JRで働いている方、JRへの転職を検討している方にとって、参考になる情報をお届けします。

私のJR勤務歴と退職までの経緯

まず、私の経歴を簡単にご紹介します。

• 勤務期間：8年間（20代半ばから30代前半）
• 職種：鉄道運営業務（駅務、運転士、車掌、指令など幅広く経験）
• 勤務エリア：首都圏を中心とした複数駅・車両基地
• 退職時期：2019年（転職活動期間を含む）

新卒でJRに入社した私は、最初の数年は「安定した大企業に入れた」という安心感を抱いていました。しかし、年数を重ねるにつれて様々な問題が見えてくるようになったのです。

JRを辞めた5つの決定的理由

1. 給与水準の低さと昇進の遅さ

多くの人が驚かれるのですが、JRの給与は思っているほど高くありません。

実際の給与例（私の場合）

• 入社3年目：年収約420万円
• 入社6年目：年収約480万円
• 退職時（8年目）：年収約520万円

同世代の友人と比較すると、IT企業や金融機関で働く友人の方が明らかに高収入でした。特に残業代込みでこの水準なので、時給換算すると決して高いとは言えません。

昇進についても、年功序列が色濃く残っており、能力や成果に関係なく「時間」が最重要要素となっています。主任クラスになるのに最短でも10年以上かかるのが現実です。

2. 劣悪な労働環境と不規則勤務

鉄道業界特有の問題ですが、勤務時間の不規則さは想像以上でした。

典型的な勤務パターン

• 早番：4時30分出勤 → 13時終了
• 遅番：13時出勤 → 22時終了
• 夜勤：22時出勤 → 翌7時終了

これらのシフトが不規則に組まれるため、生活リズムが全く安定しません。友人との約束も立てにくく、プライベートの充実は難しい状況でした。

さらに、台風や雪などの悪天候時には緊急出勤が頻繁にあり、休日でも携帯電話が鳴ると即座に出勤する必要がありました。

3. 古い体質と非効率な業務プロセス

JRは歴史ある企業だけに、昭和の体質が根強く残っています。

具体的な問題点

• 書類は基本的に紙ベース（デジタル化の遅れ）
• 上司への報告は必ず対面で行う慣習
• 意味のない会議や研修が異常に多い
• 新しい提案や改善案が受け入れられにくい風土

IT企業に転職した現在と比較すると、業務効率の差は歴然です。同じ成果を出すのに、JRでは3倍以上の時間がかかっていたように感じます。

4. 将来性への不安

少子高齢化による人口減少、リモートワークの普及、自動運転技術の発達など、鉄道業界を取り巻く環境は厳しさを増しています。

特にコロナ禍を経験して、テレワークが一般化した結果、通勤需要の大幅な減少は避けられません。JR各社の業績悪化も、この傾向を裏付けています。

30代の私にとって、今後30年以上働く会社として本当に適切なのかという疑問が日々大きくなっていきました。

5. キャリアの選択肢の狭さ

JRでの経験は確かに専門性がありますが、他業界への転職時に評価されにくいのが現実です。

実際の転職活動で感じたのは：

• IT関連のスキルがほとんど身につかない
• 営業や企画などのビジネススキルの習得機会が少ない
• 英語を使う機会がほぼゼロ
• 新しいテクノロジーに触れる機会が限られている

JR内でのキャリアアップは可能ですが、外の世界での市場価値を高めるのは困難だと感じました。

JRを辞める前に検討したこと

他部署への異動願い

退職を決断する前に、本社の企画部門や営業部門への異動を希望しました。しかし、現場経験が重視される文化のため、すぐには叶いませんでした。

副業の検討

当時のJRは副業が禁止されていたため、スキルアップや収入増加の手段が限られていました。（現在は一部解禁されています）

資格取得による差別化

業務に関連する資格をいくつか取得しましたが、給与や昇進に大きな影響はありませんでした。

実際の退職プロセス

退職意思の伝達

直属の上司に退職意思を伝えた際の反応は：

• 「なぜ安定を捨てるのか理解できない」
• 「外の世界は厳しいぞ」
• 「もう少し考え直してはどうか」

上司の気持ちも理解できましたが、私の決意は変わりませんでした。

引き継ぎと最終出勤

退職の2ヶ月前から引き継ぎを開始し、後任者への業務移管を行いました。最終出勤日は、多くの同僚が見送ってくれて、複雑な気持ちでした。

退職後の転職活動と現状

転職活動の実際

応募した業界

• IT・WEB業界（最終的な転職先）
• 金融業界
• コンサルティング業界

転職活動期間：約4ヶ月

JRでの経験をどうアピールするかが最大の課題でした。最終的に、「安全管理」「チームワーク」「責任感」といった点を強調することで、IT企業への転職を成功させました。

転職後の変化

ポジティブな変化

• 年収が約30%アップ（520万円 → 680万円）
• 規則正しい勤務時間（9:00-18:00）
• リモートワーク可能
• 新しいスキルの習得機会が豊富
• 副業OK

苦労した点

• IT知識の習得に時間がかかった
• ビジネス用語に慣れるまで大変だった
• 成果主義への適応

JR退職を検討している人へのアドバイス

退職前にすべきこと

1. スキルの棚卸し

JRで培った経験を他業界でどう活かせるか整理しましょう。安全管理、チームワーク、責任感など、意外と評価される要素があります。

2. 転職市場の研究

自分の年齢・経験で転職可能な業界・職種を徹底的に調べることが重要です。

3. 資格・スキルの習得

転職先で求められる資格やスキルを事前に身につけておくと有利です。

4. 十分な貯蓄の確保

転職活動期間中の生活費として、最低6ヶ月分の貯蓄を確保しておきましょう。

退職しない方が良い人の特徴

• 鉄道業務に強いやりがいを感じている
• 安定性を最優先に考えている
• 新しい環境への適応に不安がある
• 家族の理解が得られない

まとめ：JR退職は慎重に、でも恐れずに

JRを退職して5年が経った今、この決断に後悔はありません。年収アップ、ワークライフバランスの改善、新しいスキルの習得など、多くのメリットを実感しています。

ただし、JRも決して悪い会社ではありません。安定性、福利厚生の充実、社会インフラを支える使命感など、魅力的な面も多くあります。

重要なのは、自分が何を優先するかです。

• 安定性とワークライフバランスのバランス
• 現在の収入と将来の可能性
• やりがいと成長機会

これらを総合的に判断して、自分にとって最適な選択をすることが大切です。

もしJRからの退職を真剣に検討されているなら、まずは情報収集から始めてみてください。転職エージェントへの相談、業界研究、スキルアップなど、できることから少しずつ始めることをお勧めします。

この記事が、JRでの働き方に悩んでいる方の参考になれば幸いです。

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※この記事は筆者の実体験に基づいて作成されています。JRの働き方や待遇は部署・地域・時期によって異なる場合があります。転職を検討される際は、必ず複数の情報源を参考にして慎重に判断してください。